規制改革推進 第3次答申 放送規制部分の記述無し 民放側に一定の安心感
提言はビジネス面に終始 ネット同時配信も進展せず
 [2018年6月11日]


  第3次答申は、「放送を巡る規制改革」の冒頭の「背景と視点」では、「通信での動画配信の飛躍的拡大、5Gの実現などで、映像コンテンツの流通は国境を越え、放送事業者、ひいては日本経済にとって大きなチャンスになる。特に、2020年の東京五輪/パラリンピックまでの2年間が飛躍の時だ」と、意欲に満ちた文言を記した。
 しかし、肝心の放送制度改革については、第4条の撤廃による放送と通信の規制体系の一本化、ハード・ソフトの分離、放送分野への電波オークションの導入--など、当初、核心だったテーマについては何の記述もない、骨抜きの内容となっている。
 これまで、推進会議の各論点に疑問を投げ掛け、全面的な拒否姿勢を示していた民放側の活動が、大きな成果をもたらしたといえる。日本民間放送連盟(民放連/井上弘会長)にとっても一定の安心感を得るものとなった。
 民放連は、同日に発表した同答申に対するコメントで、「懸念されたような放送の意義や公共的役割を否定する文言は見当たらない。放送の未来像について『国民の知る権利の充足などを通じて、健全な民主主義の基盤として社会的な機能を放送事業者が十全に果たしていく姿』と記され、学識者や専門家、民放事業者の意見聴取を経て、放送の公的役割を尊重する取りまとめになった」と評価している。
 放送制度改革についての踏み込みがない第3次答申は、放送のビジネス環境についての提言に終始している。焦点の1つであるインターネット同時配信については「NHK・民放ともに視聴者が利用しやすく、円滑に運営できる配信基盤の構築がなされるよう、検討の場の設定など必要な措置を講ずる」とした。
 NHKの常時同時配信については「その是非について早期に結論を得る」としており、これも進展の要素はなかった。
 同時配信にかかわる著作権処理の円滑化、放送大学の電波の跡地と空いているV-high帯域に関する部分では「新たなプラットフォームへも活用する可能性について検討する」「新たなプラットフォーム・配信基盤の構築に向け、必要に応じてNHKの技術開発成果や設備の活用の在り方について検討する」との興味深い記述があった。
 このプラットフォーム・配信基盤については、「通信網・放送波の配信方式を問わず、既存放送事業者、新規参入を含む多様な事業者が映像コンテンツ事業のために利用できるもの」と説明している。

(つづき・詳細は映像新聞 2018年6月11日号1面)


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