2019年5月27日

地上TV高度化が本格始動
4カ年で技術試験事務
東京・名古屋などに実験局 技術基準策定へデータ収集
/A-PABが事業主体に

 高度地上波テレビ放送の実用化に向けた動きが本格化する。総務省は、①同放送のための空き周波数の創出②同放送の技術基準策定--を目的とする「周波数ひっ迫対策技術試験事務」(平成31年-令和4年度の4カ年/平成31年度予算額:77.2億円の内数)について、実施者に放送サービス高度化推進協会(A-PAB)を選定し、既に契約を終えた。A-PABは同技術試験事務の実施に向け準備に入っている。同技術試験事務は、昨年度、東京・名古屋両地区で実施された「地上放送の高度化技術に関する研究開発」(以下、高度化研究開発)用の実験試験局を活用することに加え、複数の地方都市でもフィールド実験が実施される見通しだ。

2019年5月27日号 主な記事

●エクサインターナショナル/ファイルアーカイブサービス展開
●急成長 宇宙ビジネス(1) ICT企業が市場牽引 GAFA、ソフトバンクが投資
●米国で開催「SATELLITE2019会議・展示会」報告(上)
●NAB Showレポート 進化するプロダクションツール 最前線で求められる機能

特集

● 東北映像フェスティバル開催 多様な制作機器が集結 4K・8K、5G時代に対応
● 各社出展概要

コンテンツビジネス

● 音楽原盤の二次利用 オンライン上で売買/スペースシャワーと共同でサービス開始

放送

● 地上TV高度化が本格始動 東京・名古屋などに実験局/A-PABが事業主体に

プロダクション

● ファイルアーカイブサービスを展開/エクサインターナショナル

デジタル映像

● 統合型リゾート展に出展 都市データやVR/ARを訴求/キャドセンター

インターネット/通信

● 「SATELLITE 2019会議・展示会」報告〈上〉 ペンス米副大統領が特別講演 米企業が衛星事業を牽引

プロ機器

● SDIとIPの混在運用を実演 VGIはFlameやデータ圧縮ソフトを展示/朋栄が内覧会
● SRTアライアンスへの参加が決定 低遅延伝送技術の普及を目指す/伊藤忠ケーブルシステム
● NAB Showレポート 進化するプロダクションツール 最前線で求められる機能

ディスプレー/大型映像

● 5年連続の最終赤字 外資の支援を仰ぐ/ジャパンディスプレイ

映画/番組/CM

● 映画「長いお別れ」 記憶を失っていく父と家族たちの愛

総合

● 制作支援のAIソフトを共同開発/モルフォとヌーベルが業務提携
● メディア配信のコスト削減とセキュリティー強化を重視/アカマイが事業戦略を発表

イベント一覧

●3D TV、AR・VRの研究開発に焦点 180度大画面で高精細VR映像 AI活用の番組制作も進化/30日からNHK技研公開

NHK放送技術研究所(以下、技研)の最新の研究成果を一般に公開する「技研公開2019」が、5月30日-6月2日の4日間、東京都世田谷区砧の技研で開催される。今年は、「ワクからはみ出せ、未来のメディア」をテーマに、24項目の研究成果を展示する。
―――
今年の技研公開では、8Kに続く将来の新しい映像表現技術として、画面から飛び出したり、画面の枠を取り払ったりというような、3DテレビやAR・VRの研究開発にフォーカスする。
また、ネットを活用することで放送サービスの利便性をさらに高めることを目指した「コネクテッドメディア」、AI(人工知能)を活用した番組制作支援やユニバーサルサービスの拡充を目指した「スマートプロダクション」、8Kスーパーハイビジョンの最新の研究成果を展示する。
〈3Dテレビ、AR・VR〉
「高精細VR映像」の展示は、ヘッドマウントディスプレーなどを使って広視野の映像をインタラクティブに楽しむことができるVR技術と、高精細映像を組み合わせることで、よりリアルで高い没入感が得られるコンテンツ視聴を目指した技術。同コーナーでは、将来、さまざまな視聴スタイルで楽しむことができる高精細VR映像の視聴イメージを、180度の視野を覆う大画面スクリーンで体感できる。
「ARを活用したテレビ視聴スタイル」の展示では、テレビ画面から出演者が飛び出してきたような新しい視聴体験を紹介する。MMT(Mpeg Media Transport)の技術を使用して、放送番組と同期してインターネットで配信される番組出演者の3D映像が、AR用のメガネやスマートフォンのカメラ機能を通じて、テレビの前に実物大で合成表示される。
「視点に追従するインテグラル3D映像」の展示では、特別なメガネが不要で、自然で見やすいインテグラル3Dテレビの視聴範囲を広げる技術を紹介。携帯端末などの個人視聴用システムとして、見ている人の目の位置を検出し、視聴位置に応じた3D映像を広い視野範囲で表示できる。
〈コネクテッドメディア〉
「ネット×データ×IoTが連携するメディア技術」の展示では、視聴者がテレビの前を離れても、周囲の多様なIoTデバイスを用いて、番組の内容をそれぞれのデバイスの特徴に応じた方法でユーザーに提示する技術などを紹介する。
〈スマートプロダクション〉
AIを活用して効率的な番組制作支援などを目指す「スマートプロダクション」では、ラジオで気象情報を伝えるNHKアナウンサーのノウハウを生かして、気象情報番組を自然で滑らかな合成音声で読み上げる「AIアナウンサー」の技術を紹介。
「生放送番組における自動字幕制作」の展示では、地域放送局での字幕制作の拡充に向けて、AIを活用した音声認識により、生放送の音声から自動的に字幕を制作し、スマートフォンなどにインターネット配信する技術を紹介する。
「スポーツ映像の状況理解技術」では、ロボットカメラの実現に向け、スポーツ映像から競技の状況を理解する技術を展示する。

●フルスペック8Kライブ制作
〈8Kスーパーハイビジョン〉
「スーパーハイビジョンワイヤレスカメラ」の展示では、8Kカメラで撮影した映像を無線伝送できる8Kワイヤレスカメラを展示する。
ケーブルレスで映像を伝送できるため、スポーツ中継や音楽番組の制作など、被写体に近づいた迫力あるシーンの撮影に活用されている。8K映像のワイヤレスカメラは世界初。
「フルスペック8Kライブ制作伝送実験」の展示では、映像のフレームレート(コマ数)を120Hzに高めることで、被写体の動きをより鮮明かつ滑らかに表現するフルスペック8K映像のライブ制作と衛星伝送の公開実験を実施する。
中継現場では、8K120Hzに対応したカメラなどの制作機器を用いてコンテンツを制作。HEVC方式による映像符号化装置で圧縮し、広帯域・大容量伝送が可能な21GHz帯中継器を搭載したBSAT-4a衛星を用いてライブ伝送する。会場では受信した8K120Hzのコンテンツを見ることができる。
〈講演・ラボトーク〉
5月30日に今年の技研公開のテーマに関連した2件の基調講演、31日に技研の職員による6件の研究発表「ラボトーク」を実施する。
基調講演では東京大学 先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏が、「身体の未来 拡張現実感から人間拡張工学へ」と題し、VR・ロボット技術を用いて身体能力を拡張する人間拡張工学とともに、身体の可塑(かそ)性に着目した『自在化身体』プロジェクトの概要について解説。
また、東北大学 電気通信研究所所長・教授の塩入諭氏が、「空間表現を広げる視覚のしくみ」と題して、映像技術における人間の視覚特性、行動や身体とのかかわりなども含め、最近の視覚や他の感覚の認知過程の研究から、従来の枠を超え空間表現を広げる手がかりについて話す。
ラボトークでは、技研の研究員が最新の研究内容を、映像やデモンストレーションを交えて分かりやすく紹介する。


●東京・大阪でプライベートショー 4K.8K製品主力に セミナーも実施/リーダー電子

リーダー電子は、「プライベートショー2019」を東京(6月12、13日)と大阪(7月1、2日)で開き、新製品と主力製品の展示会および講演・技術セミナーを実施する。入場・受講は無料。
新機種である8K対応波形モニター「LV5900」、「ZENシリーズ」に追加された4K-IP(25G)モニター/ジェネレーターおよび「LT4610」の8K対応などを4K.8K製品を主力に披露する。
講演・技術セミナーの内容は、基調講演「将来の放送の発展への期待」(元NHK放送技術研究所所長 黒田徹氏)、技術セミナー1「SDI技術者のためのIP講座」(リーダー電子 技術開発部)、技術セミナー2「カラリストによる4K HDRグレーディングについて」(IMAGICA Labカラリスト 関口正人氏、山根暁子氏)となっている(受講は事前登録制)。
【東京】6月12、13日/10時-17時30分(13日は17時まで)▽会場=トラストシティ カンファレンス・丸の内(東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN館11階)
【大阪】7月1、2日/10時-17時30分(2日は16時30分まで)▽会場=大阪市淀川区宮原4-2-1ホテルメルパルク大阪3階)
【詳細・申し込み】www.leader.co.jp/event


●映画「ドラゴンボール」題材に Tooがアニメ制作ワークフローセミナーを開催

Tooは、「あにつく2019」連動企画 アニメ制作ワークフローセミナーの第20弾として、「映画『ドラゴンボール超 ブロリー』メイキングセミナー」を6月5日に都内で開く。
同セミナーは、アニメ・映像制作に携わる人や制作に3DCGツールの導入を検討中の人を対象に、オートデスク製品を中核とするデジタルでのアニメ制作ワークフローを解説するもの。
今回は、講師として東映アニメーション デジタル映像部の福長卓也氏(ラインプロデューサー)および牧野快氏(チーフデザイナー)が登壇。アニメーション制作における現場でのエピソードやCG制作フローなどについて語る。受講は無料。
【日時】6月5日/15-18時
【会場】ソラシティカンファレンスセンター sola city Hall EAST(東京都千代田区神田駿河台4-6)
【定員】200人(事前予約制)
【詳細・申し込み】www.too.com/event/y2019/dragonball


●放送機器の内覧会 技術セミナーも開く/池上通信機

池上通信機は6月13、14日の2日間、最新の放送映像機器を展示する「放送映像機器内覧会2019-Ikegami Broadcast Equipment-」を都内で実施する。併せて技術セミナーを開く。
セミナーは、13日が「IP技術の放送設備への応用と実際~『相互接続検証』で判明したIP化の普及における課題と展望~」、「新しくなったMedia Composer 2019とIkegamiの4Kマスターモニタの紹介」、14日が「IP技術の放送設備への応用と実際~諸外国のスポーツ中継とIP化の動向~」となっている。
[主な出展機器] ▽4K/HDマルチパーパスカメラ▽4K/HDスタジオカメラ▽31型4K UHD LCDマスターモニター▽HDR対応HD LCDモニター▽4K/HDマルチプラットフォームスイッチャー▽4K・IP伝送対応デュアルモード・デジタルFPU装置
【日時】6月13、14日/10時-18時(14日は17時まで)
【会場】ビジョンセンター東京(八重洲南口)6階 Vision Hall(東京都中央区八重洲2-7-12 ヒューリック京橋ビル)
【展示会の詳細/セミナーの申し込み】 https://www.ikegami.co.jp/archives/13507


●福岡で新製品展示会 NABショー製品披露 ストロベリーとブラックマジック

ストロベリーメディアアーツとブラックマジックデザインは共催で、「NAB2019新製品展示会」を6月18日に福岡市で開く。入場無料。
4月のNABショーで発表した8K製品群やダビンチリゾルブ16、Editor Keyboardなどの新製品のほか、ダビンチリゾルブのコラボレーション・ワークフロー、Fairlight Console、URSA Mini Pro4.6K G2、モバイル 4K60pシステムなど、ライブ/ポストプロダクションの両方に活用できるさまざまなソリューションを展示する。
ダビンチリゾルブ16および8K新製品のプレゼンテーションも実施する(12時、14時、16時開始=いずれも30分の予定)。
【日時】6月18日/11-17時
【会場】ストロベリーメディアアーツ九州本部オフィス(福岡市中央区草香江2-10-21)
【詳細】bmduser.jp/training


◎訂正:池上通信機「放送映像機器内覧会2019-Ikegami Broadcast Equipment-」の記事で、「展示会の詳細・セミナーの申し込み」のURLに誤りがありました。正しくは、www.ikegami.co.jp/archives/13507です。お詫びして訂正します。

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